Wayang kulit

宗教儀式とも密接な関係にあるバリ島のワヤン
宗教儀式とも密接な関係にあるバリ島のワヤン

ワヤン・クリッ(Wayang kulit)は、インドネシアのジャワ島、バリ島などに伝わる伝統的な影絵芝居です。2009年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。

 

バリ島の伝統的なワヤンは、ダランと呼ばれる影絵師(人形つかい)を中心に、伴奏ガムラン音楽グンデル・ワヤンの演奏者4人と、ダランの補佐をする者で編成されます。ラーマヤナ物語を演じるワヤンになると太鼓やゴングなどの楽器が加わり編成が大きくなります。


バリ女子たちは日本で何を思ったか

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バリから来日されたアーティストの皆さんは、無事に帰国されたとのこと。台風の影響が出る前で本当によかったです。

バリの伝統芸能を本場から直輸入で紹介し、たくさんの日本の人々を魅了しました。

今回来日された5名のうち、3名はまだ10代の女の子。今回が初海外、初来日でした。

彼女たちは故郷のバリ島を離れ、遠い海外で何を思い、何を感じたのでしょう。

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写真は先日の本番前の練習の日のこと。
たまたま、私たちの前の部屋の利用者が日本舞踊を練習しており、少し見学をさせてもらいました。

初めて聞く日本の伝統音楽、そして着物を身にまとい扇を持って踊る姿を女子たちはじっと見つめ、時おりスマホで撮ってみたり。

「どういう場面で踊られるんですか?」と質問するなど興味津々の様子でした。

彼女たちにはまたいつか改めて、今回の日本での滞在のことを伺ってみたいな、と思います。


オマケ(本番前の練習風景より)

1.シンクロする親子

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2.体を張るジベカ理事長(60歳)

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バリ島の影絵芝居ワヤンとバリ舞踊@あーすぷらざ

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昨日はインドネシア・バリ島より素晴らしい舞踊家、演奏家を迎え、多くの皆さまにほんの一部ではありますが、バリの伝統芸能をご紹介できたことを大変うれしく思っております。

イベント(第2部ワヤン)にご参加いただいた方から、次のような嬉しいメールをいただきました。

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今日はバリの影絵イベントありがとうございました。
幻想的な雰囲気の中、子供達も元気で、
ナビゲーターをされた方のトークも素敵でしたね。
「バリで上演するよりバリらしい雰囲気」と言われ、可笑しかったです。
バリ語はわかりませんが子供たちには全部通じてたと思います。
開放的な設定をして下さり、それも感動的でした。
衣装も素敵で、黄色のクロス、とっても気品がありました。 
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「バリで上演…」というのは、観客の皆さんの反応が良く、大変盛り上がってくれたことからの飯田(ジベカ代表)のコメントです。ダラン(影絵つかい)のセンディさんは話が進むにつれ、どんどんのってきた感じが伝わってきました。

センディさんのお父さま、ガムラン演奏家ブダ氏との息もぴったりで(さすがですね!)ワヤンの伴奏音楽グンデル・ワヤンで影絵芝居をさらに盛り上げました。

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ワークショップではバリ舞踊家スティルタ氏のわかりやすく、温かい指導に日本の子どもたち(大人も!)は一生懸命応えてくれました。スティルタ氏の教え子ティアさん(実の娘さんです)、デフィさんのお二人ははアシスタントとして、手取り足取り参加者のサポートをしてくれました。きっとバリでもお姉さん先生としてお手伝いしているんでしょうね。とても慣れた感じで、ポイントを押さえて指導していました。

バリ島では、年上の子どもたちは自然と小さな子の面倒をみます。さまざまな年代が混ざり合って共に成長していきます。だからバリ人にとって小さな子どもの扱いは慣れたもの。昨日はたくさんの元気な子どもたちが参加してくれたことで、会場の立派なホールがまるでバリのような雰囲気となったように感じました。

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改めて、このような機会をもつことができたことに感謝します。
ありがとうございました!
suksma..🙏

 

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【第1部 バリ舞踊ワークショップ】
指導(男性舞踊バリス):Wayan Sutirtha
アシスタント(女性舞踊ペンデット):
Luh Gede Wahyu Satyaningrum
Putu Devi Kariasih 

【第2部 影絵芝居ワヤン】
《演目》Matinya Niwatakewaca(ニワタカワチャ死する)
ダラン(影絵つかい):Kadek Candy Cintya Dewi
グンデル演奏:
Ketut Buda Astra
Shigeki Iida
Yuriko Ito
Aiko Omori

コーディネート:Atsushi Ozawa
Terima kasih atas bantuan.. Suzuki, Sato dll.

2018.8.1 あーすぷらざ(神奈川県立地球市民かながわプラザ)プラザホールにて開催

8/1の出演者(講師)紹介!

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バリ島より演奏家、舞踊家たちがいよいよ来日!クトゥッ・ブダ氏(ガムラン演奏)、ワヤン・スティルタ氏(バリ舞踊)は現役で活躍するかたわら、自身が主宰する団体(ブダ氏:スアラ・ムルティ Sanggar Suara Murti、スティルタ氏:ロカナンタ Sanggar Lokananta)にて多くの子どもたちを熱心に指導しバリ島の伝統芸能の継承の一端を担っている方々です。

今年は日本インドネシア国交樹立60周年の節目の年。今回のイベントが多くの皆さまにインドネシア・バリ島の伝統芸能を知っていただく機会となり、ますますインドネシアと日本の繋がり、友好関係が深まるよう願っております。
 
【バリ島の影絵芝居ワヤンとバリ舞踊】
◼︎日時:8月1日(水) 
◯第1部バリ舞踊 14:00〜14:45(要予約)
※定員に達したため現在新規のお申込みは受け付けておりません。ご了承ください。
◯第2部影絵芝居 15:00〜15:45(予約不要)
◼︎場所:神奈川県立地球市民かながわプラザ「あーすぷらざ」(JR根岸線 本郷台駅 改札出てすぐ)
◼︎参加無料
◼︎出演:
Ketut Buda(クトゥッ・ブダ)
Wayan Sutirtha(ワヤン・スティルタ)
Kadek Sendy(カデッ・センディ)
ほか

司会進行:飯田茂樹(ジベカ代表)
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スティルタ氏主宰団体「サンガル・ロカナンタ」の発表会の様子。すごい子供の数!発表の場は子ども達のやる気をさらに伸ばしますね(スティルタ氏:中央右の青いシャツ、白いウダン(ハチマキ))

 

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外国人留学生を指導中のスティルタ氏(国立芸術大学ISIデンパサールにて)

 

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ワヤン(影絵芝居)の上演前。ダラン(影絵つかい)はセンディさん、演奏者はブダ氏の教え子たち(2015年度バリ芸術祭にて)

 

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センディさん(左)、ブダさん(右)
8/1当日の親子共演グンデル演奏も楽しみです

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スティルタ氏の教え子たち。戦士の踊り「バリス」を練習中。真剣な表情!

 

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ブダ氏主宰団体「サンガル・スアラ・ムルティ」の練習風景。楽器グンデル・ワヤンのたくさんの数にも驚き!
アシスタントの先輩女子たちは、楽器の反対側から叩いて指導。驚愕!

 

110人でグンデル・ワヤン演奏!

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先週の金曜日、バリ島ギャニャール県の市制記念日(4/19)の催しとして、前倒しで子どもたちによるグンデル・ワヤン(影絵芝居ワヤン・クリの伴奏音楽)の演奏がありました。 

その数なんと110人!(普通は4人で演奏します)

昨年来日したブダ先生(Sanggar Suara Murti/Br.Babakan, Sukawati)の生徒たちによる演奏です。

クラシック音楽で考えると、4人で完結した音楽世界を築いている弦楽四重奏の編成を110人で演奏するということになるわけで、それについて「ああだこうだ」といろいろ思う人もいるかもしれません。しかし、とにかくこの大人数で実現させていること自体に驚きを感じ、スカワティ村ババカン地区の人々のワヤン(影絵芝居)の世界に対する並々ならぬ情熱の深さを思い知らされるのです。(飯田 茂樹)
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本番の様子。写真はFacebookより(2018.4.13)

 


以下、ブダ先生のグンデル・ワヤン(ガムラン)教室の練習風景です。(写真: 飯田)

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写真は少人数でのレッスンの様子。練習はいつも真剣勝負!

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大人数のレッスンは、先輩の生徒たちがアシスタントとしてお手伝い。鍵盤の反対側から叩くというスゴ技もさらっとやってしまう、恐るべしグンデル女子!


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ブダ先生のグンデル教室「サンガル・スアラ・ムルティ」
(Sanggar Suara Murti @Br.Babakan Sukawati)

少しお年の新進気鋭のダラン登場か!?(スカワティ村のガムラン軍団を率いるこのダランは誰だ?!)

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ジャカルタ全国区のTVに出演経験もあるお笑い界の有名人、スアンダさん(芸名チュディル)。その彼がバリ島の伝統的なワヤン、それもバテル編成(4台のグンデル・ワヤンの他に太鼓など8名ほどのリズムセクションが加わったもの)のワヤンに3度目の挑戦!(マハバーラタ物語)
 
バトゥブランのご自宅を訪問すると、いつも気さくな踊りを交えて歓迎してくれるスアンダさん(私も踊りで応えます、笑)。バリ島では地元のTVを通して彼のコミカルな道化役を知らない人はいないほど、そのキャラクターは多くの人々から愛されている。
 
すでにバリ島のお笑い界ではトップクラスの活躍をしているその彼が、道化の世界だけでは物足りなくなった(?!)のか、はたまた満を持して奥深いワヤンの世界に飛び込む時がついに来たのか、数年前からダラン(影絵使い)に挑戦し続けている。しかもワヤンのメッカ、スカワティのツワモノ楽師を引き連れて。
 
数日前、バトゥブランのご自宅でのリハーサルに伺った時は、グンデル奏者が2人しか集まらず、それも大遅刻、緊張感に欠け、私も早々にその場を退散したほどだった。(失礼しました)
 
しかし、昨夜の本番はダランと演奏者のもっているポテンシャルの高さから、夢のようなファンタジー世界を創造していた。流石のあっぱれ!だ。
 
スアンダさんとスカワティの演奏者は同じ地域に住んでいるわけではないので、人形と音楽に「あ・うん」の関係を築くのにはそれなりに時間を要すると思われる。しかし、スアンダさんの人生をかけた崇高な挑戦、今後も期待して応援したい。
(バリ島より、飯田茂樹)
 
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昨夜の本番はノリにのり、‪4時間にも及んだ‬(演奏者には長く不評であったが、笑)。洞窟シーンのエコーのかかった会話にスアンダ氏のオリジナルの笑いを私は見た。
 
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数日前のリハーサルの様子。スアンダ氏(ダラン)、ブダ氏(右太鼓)、チャプン氏(グンデル)、ギップ氏(グンデル)

 

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スアンダ氏のカヨナン(森羅万象を表す人形)上演シーン

 

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緊張感に欠けたリハーサル(失礼)、グンデル演奏者がギップ氏しかいなかったので、ブダ氏(本当は太鼓)が代行。
本当に心配になりました。
 
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ブダ氏の相手役、もう一人の太鼓演奏者はライ氏

 

新しい創作ワヤンはこうでなくっちゃ!

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影絵の人形は子どもたちには当然大人気!

 

(「くぷくぷ影絵音楽団」ハナ☆ジョスの東京公演からのリポート 2018.2.23@代々木オリンピックセンター)


インドネシア伝統芸能団「ハナ☆ジョス」のローフィさんと佐々木ひろみさんによる子ども向けワヤン(影絵芝居)ユニット「くぷくぷ影絵音楽団」の3つのワヤンが上演されました。


1つ目の「まる○さんかく△しかく□」は、形をテーマとしたオリジナルファンタジー作品。
2つ目は、五味太郎原作の色をテーマとした「きんぎょがにげた」。
そして3つ目は、ジャワ島の民話「ワニとやんちゃなしか・カンチル」。

 

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きんぎょがにげた」のワンシーン

 

ワヤン3種3様の特徴を出して、子ども向けとうたってはいるものの、「これぞ創作ワヤン」という素晴らしい光と影の世界を見せてもらいました。

 

特に3つ目の「カンチル」は、従来のスクリーンに影を投影する事からはじまり、バリ島のワヤン・ルマ(昼間の儀式のワヤン)方式と同様に、人形と人形を操る人そのものを全部見せるやり方に移行。そして3つ目の演じ方として、ローフィさんならではの真骨頂。ジャワ舞踊の要素を交えての全身を使っての語りと人形操作は、カンチルがトンチをきかせてワニ軍団から逃れるクライマックスシーンにドンピシャはまっていました。

 

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生きのいいワニを表現するローフィさん

 

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鹿の「カンチル」がトンチをきかせて、ワニ軍団から逃れるクライマックスシーン

 

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体を張ったこんなダラン(影絵つかい)は見た事ありません!

 

奥さまひろみさんの歌と語り、ジャワ・ガムランのグンデルとサロン、そして竹のアンクルン演奏。ローフィさんに負けない大活躍も特筆しなくてはいけませんね。お二人の息の合ったステージ、今後もフォローしていきたいと思います。(飯田茂樹)

 

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竹のハンドベルともいわれているアンクルンの演奏。振って音を出す楽器

 

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「ハナ☆ジョス」 左:ひろみさん、右:ローフィさん

 

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【オマケ】なんかスミヤントさん(彼も日本在住のジャワの影絵芝居のダランです)にも会いたくなり、勤務先の新宿御苑の大温室を訪問しました。作業着を着ていてもモデルさんでした。ノーアポでごめんなさい

 

バリ島の影のない影絵芝居 ワヤン・ルマ

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影がないのに影絵芝居って?
まず誰もが不思議に思うところです。

インドネシアの影絵芝居 「ワヤン」wayang は「影」が語源ではありますが、実は影を用いないさまざまなワヤンがあるのです。

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演奏者から見た「ワヤン・ルマ」の風景(photo:Rumika)

 

今回ご紹介するのは、ワヤン・ルマ(wayang lemah)と呼ばれる、影を映すスクリーンを使用しないバリ島のワヤン。「ルマ」というのはバリ語で「昼」を意味します。

ワヤン・ルマの多くは昼間に行われる宗教儀式の際に演じられ、夜のワヤン(wayang peteng)と比べより宗教性が高く、神のために演じるものなので観客はいません。(子ども達や手の空いてる人が周りにいることはありますが)

 

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オダラン(寺院創立祭)会場。中央に見える箱はワヤン人形が入っている「クロパック」kropak 周りにはたくさんのお供え物が。奥に儀式が始まるのを待つ人々

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プダンダ(高僧、左奥)の準備が整い、儀式が開始。参拝客であふれる境内の中、舞踊が奉納される

 

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舞踊と同時進行でワヤン・ルマも「グンデル・ワヤン」gender wayang の演奏からスタート


儀式会場はたくさんのお香が焚かれ、お供え物の果物や花々であふれています。ワヤンと並行してガムラン演奏、舞踊なども奉納され、音、色、匂いの洪水でカオスな状況になることもしばしば。しかしそれは決して不快ではなく、まるで「あの世」とでも表現してもいいでしょうか。。

また、儀式が終わると同時にワヤンも終了するため、物語の途中で突然終わることもよくあるようです。

今回はバリ島の影のない影絵芝居、ワヤン・ルマをご紹介しました。バリ島で儀式に遭遇した際は、ぜひワヤン・ルマを探してみてください!会場の片隅でひっそりと演じられているかもしれません。

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出番を待つ踊り子の少女、少年たち

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奥からガムラン演奏(ゴング・クビャール)、奉納舞踊「ルジャン」を踊る少女たち、手前ワヤン・ルマのガムラン(グンデル・ワヤン) オダランのフル・コース(?!)

 

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バリ島内のダラン(影絵つかい)や演奏者の中でも、こちらのお二方は昼も夜も何でもござれのワヤンの大御所と言っても過言ではない方々。ダラン(左)はスカワティ村(Br.Babakan)のジュアンダ氏、演奏者(右奥)は同じくスカワティ村のサルゴ氏

 

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精緻な彫りが施され、色鮮やかに彩色されたワヤン人形がたくさん写っています。人形が入っている「クロパック」はただの人形収納のための箱ではなく、影絵芝居 ワヤン の始まりから終わりまで重要な役割があります。ダランは「チュパラ」という木槌のような道具を手で持つか足の指に挟み、クロパックの側面を打ち鳴らして劇中の効果音や合いの手を入れます。また、演奏者にとってはチュパラの音は時に演奏の合図となります。箱の素材はナンカ(ジャックフルーツ)の堅い木が使われており、音が遠くまでよく響きます(ワヤンの盛んなスカワティ村のクロパックは、よりバリエーション豊かに音を鳴らせるよう片側の側面がグラグラと動くよう設計されています)photo:Rumika

 

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写真1:チュパラ(cepala)

写真2:足にチュパラを挟んで使用する様子

 

【バリ島発信!】影絵芝居とその音楽は、確実に次世代に受け継がれている!

ギアニャール県スカワティ村のババガン地区(br.Babakan Sukawati Gianyar)は、狭い範囲にダラン(人形使い・語り部)とグンデル・ワヤン(影絵の伴奏音楽)の演奏家が密集して住んでいる特別な地域です。子どもたちは小さい頃からその伝統芸能にふれ、深く興味を持つ子ども、才能を持つ子どもは小さい頃から頭角を現わし、大人顔負けのパフォーマンスを披露します。

(飯田茂樹、バリ島スカワティ村からのリポート)


只今開催中のバリ芸術祭(Pesta Kesenian Bali 通称:PKB ペーカーベー)のグンデル・ワヤン コンテスト(6月17・18日)に参加するギアニャール県代表、バトゥヤン村の子ども達。楽曲はこのグループを率いるスバンディ氏(I Made Subandi)の新曲「水のうねり」。グンデル・ワヤンという楽器のもつ表現力の限界に挑んだこの力作に、子どもたちは堂々と応え弾きこなしていた。

 

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本番間近で練習に熱が入る。課題曲「スレンドロ」「アラサルム」「プグサハン」「新創作曲」の4曲はどれも大曲。そしてグループ指導者スバンディ氏は、なんと4月中旬よりアメリカ出張中!そのためな、な、なんと6/17の本番には立ち会えず、仕上げの指導をスカワティのブダ氏丸投げ状態(笑)。経験豊富なブダ氏、指導者層の厚いギャニャール県だから成し得る超離れ技だ。
ちなみに私は、このギャニャール代表は優勝を勝ち取ると確信している。

(写真:演奏する子供たちと指導中のブダ氏)

 

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ブダ氏の次女センディさん(高3)のダランによるワヤン練習風景。演奏者は小学校低学年から高校生の子どもたち。

 

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ダラン指導の様子。センディさんの後ろから手加減なしの熱血指導。ジュアンダ氏(左)は、ブダ氏の兄、センディさんの伯父さんに当たる。思いっきり大声で歌う口元がよく似ていますよね(笑)。

 

 

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ムジカーザでガムラン大盛況のうち無事終了!

インドネシア・ジャワ芸能の「おもちゃ箱」のようなイベントが2年振りにパワフルに復活!

 

今回雇われワルン店長として参加しましたが、これでもかこれでもかといった充実した演目に舌を巻き、お店をほったらしにかぶりつきで目が釘付け!

 

見逃したご貴兄にご朗報!来年も開催予定とか。(飯田茂樹)


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グループ「ハナジョス」のリーダー、ローフィットさんは何役こなしていましたか?みんなで数えましょう。(ローフィットさん1つ目)

 

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ワヤン(影絵芝居)のダラン(影絵つかい)も。(ローフィットさん2つ目)

 

影絵を操る側と映しだされた影側の両方が見られるように、2演目のワヤンを上演してくれました。

 

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ジョグジャカルタの歓迎の踊り。ここには踊り子さんの影に隠れてローフィットさんは見えませんが、ガムランのリーダー、クンダン(太鼓)の演奏をしていました。(3つ目) 

 

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こちらはナナンさん、クールに演奏で全体を支えてくれました。

 

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こちらは8頭身モデルさんかと思いきや、NPOジベカの旗揚げ公演でも演奏をしていただいた、スミヤントさん。涼しい顔をしてあんなあおるような激しいクンプールの演奏、聞いたことありませんから。

 

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顔は見えませんが、バロンガンという虎の獅子舞?の前足と語りをしていたのもローフィットさん。(4つ目、凄いですよね)ちなみに後ろ足はスミヤントさん。

 

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大入り大盛況でしたね。飲み食べしながらの観劇はリラックス雰囲気でいい。子どもたちも色んな所を見ようと歩き回っていました。

 

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ジャワの芸能・雰囲気を満喫しました、ありがとうございました。

左から中村伸(当公演の実行委員)、西岡美緒、西田有里、アナント・ウィチャクソノ(ナナン)、根津亜矢子、スミヤント、ローフィット・イブラヒム、佐々木宏実、岩本象一(敬称略)

 

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雇われワルン店長のお店
ステージとワルンで鳥笛のさえずり共演をさせてもらいました。おかげで一番の売り上げは鳥笛でした。まいどありー。

↓オマケ:店そっちのけでワヤン(影絵芝居)にくぎ付けのイイダの図

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↓オマケ2:朝イチで会場入りして勝手にお先に「ムジカーザでガムラン」の図 ※自由過ぎてスミマセン(ジベカ・スタッフより)
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ワヤン・ワークショップ @東京芸術劇場

公演後のワークショップの様子
公演後のワークショップの様子

「月と太陽 ーEclipseー」
(インドネシア・バリ島の伝統影絵芝居と仮面舞踊の融合、ヒンドゥー教の月食、日食の起源にまつわるお話より…)

5/4~5/7 @東京芸術劇場シアターウエスト(豊島区)主催:東京芸術劇場

 

2月に来日し、ジベカのワヤン(影絵芝居)公演にも出演してくれたチャプン氏とブダ氏が、バリ島スカワティ村の仲間を新たに引き連れ再来日!伝統芸能から創作された演目の世界初公演で、スカワティ村の芸能一族が東京で多くの人々を魅了しました。

 

公演後のワークショップでは、ジベカ代表飯田が司会をつとめました。ガムラン楽器やワヤン人形操作体験、そしてバリの芸術家たちと触れ合うことができたこのワークショップは、来場された多くの子供たちや観客にとって、大変貴重で思い出深い経験になったと思います。

 

ご参加ありがとうございました。


(以下、飯田よりレポートです!)
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【5/5のワークショップ】

ちょこっとガムラン体験コーナー。この日は子どもの日、多くの子どもたちが積極的に参加してくれました。ありがとう、良い思い出になってくれたかな?今回はブダさんに沢山お話しをしていただきました。

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特別に出演者4人にワヤンの伴奏音楽、グンデル・ワヤンの演奏をしていただきました。(曲目:クレペタン)

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【5/6のワークショップ】

影絵を操作するバックヤードの見学を行いました。多くの子どもたちが大変興味を持って参加してくれました。

 

本公演の主役カデ・チャプン氏(右)と、実兄ワヤン・マルディコ氏(左)の息の合った人形操作。この2人が舞台上を駆け回り、歌って語っての人形操作には本当に頭が下がります、ありがとう、ご苦労様でした。そんな2人の人気はまだまだ終わる事はないでしょう。

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人形操作に合わせてクンデル・ワヤン(ガムラン)の演奏も行われました。
本公演コーディネーター小沢氏(中央奥)、司会の飯田(スクリーン左)

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演奏隊も本当にご苦労さまでした。グンデル・ワヤン ファンも年々増えてきていますね。
音楽監督ブダ氏(手前左)、コマン・アリ氏(手前右)、マキコさん(後左)、ユリコさん(後右)

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かわいいお弟子さん?
「影絵に合わせてチェンチェン(シンバルパーカッション)をやってごらん」

あの激しいクンダン(太鼓)の演奏をしていた強面カプルットさんが優しい子ども対応!流石バリ人!

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【5/7公演最終日のワークショップ】

ワヤン人形の操作体験!影がどう映るか皆さん興味津々の様子。

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バリ島で芸能が盛んなギャニャール県スカワティ村からきた出演者6人。

紅一点スカンティさん(中央)は、視線をいっきに集めていましたね。

 

バリ島から、本当に素晴らしい公演をありがとうございました。

ワヤン公演を終えて

ダランのカデ チャプン氏(I Kadek Budi Setiawan)
ダランのカデ チャプン氏(I Kadek Budi Setiawan)
第2回NPO法人日本インドネシア・バリ教育文化協会 自主公演「バリ島のワヤン(影絵芝居)〜上演と解説~」(2017.2.20 宮地楽器ホール内)に多くのご来場本当にありがとうございました。

当日は準備不足から開場時間も遅れ多くの方々にご迷惑をおかけしてしまい、大変失礼をしました。そのような中でバリ島から来日した出演者カデ・チャプン氏とブダ氏は、いつものパフォーマンスが普通に出来て良かったと言われ、関係者一同ホッと胸をなでおろしました。

フルメンバー全バリ人による公演ではありませんでしたが、この2人の存在はそのフル編成に殆ど遜色が無いと言えるほどのパフォーマンスだったと思います(けっして3人の日本人サポート演奏が頑張ったという意味ではありません)。

NPO法人日本インドネシア・バリ教育文化協会は、昨年8月17日に産声をあげたばかりの駆け出しの団体です。インドネシア・バリ島の音楽・芸能を中心に世界の民族音楽の文化を、手ざわりの感覚で多くの方々に体験して頂く機会をこれからも沢山作っていきたいと考えています。

NPOジベカの活動をどうかこれからも長い目で見て頂き、暖かなサポートをどうぞ宜しくお願い致します。
(代表飯田)

以下飯田より、当日の様子を写真と合わせて解説します。
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カデ・チャプン氏は現在43歳。9歳の時から彼の存在を知っていましたが、グンデル・ワヤンの演奏と指導、舞踊家、ガムラン演奏家、さまざまな形態の海外公演など、多岐にわたりその秀逸な才能を発揮してきました。私はチャプン氏の今後の動向が日頃から気になっていたため、あえて今後どのような道を進むのか尋ねてみました。すると強く意志のこもった声で「ダラン」だ!とハッキリと応えてくれました。即答で2度も。踊り、ガムラン音楽など今までのさまざまな経験は、全てこれからのダランの道のためだと言い切りました。これからの彼の動向を皆さんと一緒に注目していきましょう。
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ワヤンの人形たち。影を見せるための人形も色彩豊かにペイントされているのがバリらしいですよね。
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スカワティ、バリ島を代表するグンデル・ワヤンの演奏家、指導者のブダ氏(右)と、ダランのチャプン氏(左)。ブダ氏は近年子どもたちの指導に大変力を注いでいます。グンデル・ワヤンの演奏セオリーをはっきり持ち示し、子どもたちに熱心に指導するブダ氏のような存在を私はかつて見たことがありません。多忙な毎日なので健康に十分留意して下さい。
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事前の予定を越える沢山のお話しありがとうございました(笑)、情熱を改めて感じました。普段寡黙なブダさんにも沢山語って頂きました。
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今回の物語「アルジュナの瞑想」の主役アルジュナ(左)、アルジュナの従者ムルダ(中)、同じく従者でムルダの父トゥアレン(右)。トゥアレンとムルダはNPOジベカのロゴマークにも使わせてもらっています。
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チャプン氏の人形操作(トゥアレンとムルダ)のシーン。トゥトゥタン(ダランのアシスタント)のお仕事、ライさん(奥)本当にありがとうございました。
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今回のワヤン公演、全7名の演者。ダラン・チャプン氏(中央)、トゥトゥタン・ラヌス氏(左奥)、トゥトゥタン・ライ氏(手前)、グンデル・ワヤン(右奥4名)の演奏者は、ブダ氏(背中黒)、大森(左)、宮崎(右)、飯田(奥)
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演者側の会場内の様子。今回のワヤン公演は、スクリーンの両側から見て頂けるように、開演中にお客さまの移動が出来るように会場を設営しました。両サイドから見られましたか?
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アルジュナの瞑想という物語は、アルジュナが森に修行に入るため森の動物が沢山登場しました。この動物はオウムなのですが、普通黒く映る人形が鮮やかなオウムの色彩になっていましたね。現役の名ダラン、イ・ワヤン・ウィジャ氏作のオウムです。
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これはペリカン、バリ島にいない動物も沢山登場しました。動物の繊細な動きは、先ほどオウムワヤンの作者として紹介しました、イ・ワヤン・ウィジャ氏の影響を多大に受けたとのこと。
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「早くそれ取って!」普段は温厚なチャプン氏も、ワヤン終盤の戦闘シーンや物語がクライマックスに達するとこんな顔をトゥトゥタンに見せます。真剣そのもの、どのダランもそうなんですよね。
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チュパラという木片を足の指にはさみ、ワヤンの入っている箱を叩いて「ガタガタッ」という迫力のシーンを演出しまし。この迫力感はスカワティだけだよねと、自慢が入る。
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ナガ(龍)とガルーダ(神の鳥)の戦闘シーン。この両者が戦うのはスカワティのワヤンだけだと、またまた自慢が入る。本当ですか?誰か他の例をご存知でしたら是非お知らせ下さい。
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本当に素晴らしいパフォーマンスありがとうございました。改めて左から、ブダ氏、ライ氏、チャプン氏、ラヌス氏。このメンバーでのワヤン公演は一期一会最初で最後かな?
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グンデル・ワヤン(楽器)とパングル(バチ)
写真:松田 修一

ワヤン(2/20)ナーガとガルーダ編

「ナーガとガルーダ」シーンのリハーサルの様子
「ナーガとガルーダ」シーンのリハーサルの様子

今月2/20に東京・武蔵小金井駅前の宮地楽器ホール練習室にて開催予定の「ワヤン(影絵芝居)上演と解説」では、バリ島の影絵芝居が盛んな地域スカワティ村より二人のトップアーティストをお迎えします。

 

上演予定の演目は古代インド叙事詩「マハーバーラタ物語」より「アルジュナの瞑想(Arjuna Tapa)」となります。この演目は、数あるワヤンの演目の中でも大変ポピュラーで、甘いロマンチックな場面あり、激しい戦闘シーンあり、大変見どころの多い内容です。

 

さて、前回のリハーサル編でもお伝えしたように、ワヤンは当日のダラン(影絵つかい)の状態、その場の雰囲気に合わせて内容が少しずつ変化していきます。それが生きた芸能の面白いところだとも言えますが、なんと今回は特別に、スカワティ村に古くから伝わる「ナーガとガルーダの戦い」のシーンが加えられる予定です。

 

スカワティ村のワヤン特有の激しいチュパラ(ダランが使用する木製の小槌のようなもので、足の指に挟んで、または手にもって木の人形箱を打ち鳴らします)の扱いやダランの巧みな人形操作、それを盛り上げるガムラン(グンデル・ワヤン)など、見どころ満載のワヤンにご注目ください。

 

ナーガ(左)とガルーダ(右)
ナーガ(左)とガルーダ(右)

ここで少し、「ナーガ」と「ガルーダ」の説明をします。

 

まずはインドネシアの国営航空会社の名前でもおなじみのガルーダ(garuda)ですが、ガルーダはインド神話にでてくる炎のように光り輝く神鳥。対するナーガ(Naga)は蛇や龍で、ガルーダとは敵対関係にあります。

 

ナーガとガルーダの関係は、陰と陽の関係であり、バリ島の観光芸能で有名な「バロンダンス」のバロンとランダの関係と類似した感じです。(ジュアンダ氏談)

 

バロンダンスはバリの奉納舞踊(演劇)「チャロナラン」がもととなっていますが、バロン(善)とランダ(悪)の決着のつかない永遠の戦いがテーマとなっています。バリの人々は善と悪、光と影、すべては表裏一体であり、ふたつのバランスが保たれることで平安が訪れると考えているからです。

 

ワヤンでは、ダランから見てスクリーンの左側が悪、右側が善となっており、左からナーガが、右からガルーダが登場します。ナーガとガルーダの戦いシーンは、大変に迫力がありそれだけでも大変見応えがありますが、バリ島に伝わる陰陽のバランスの考えを知って見てみると、また違った趣・面白さがあるかもしれませんね。

 

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ワヤン(2/20)リハーサル編

リハーサル中のチャプン氏。美男子「アルジュナ」の登場シーン
リハーサル中のチャプン氏。美男子「アルジュナ」の登場シーン
先日のバリ島滞在中に、今月2/20(月)に開催予定「ワヤン(影絵芝居)上演と解説」の打ち合わせ/リハーサルを行いました。(東京・中央線 武蔵小金井駅前にある宮地楽器ホール練習室にて開催予定。詳細はこちら

ダラン(影絵つかい)はダランの家系に生まれ、両親ともにダラン。自身もダランとなり、音楽、舞踊、演劇とひとつの枠にとらわれず広く芸能の中でその才能を発揮するカデ・チャプン氏。そして演奏リーダーはグンデル・ワヤンの名指導者として近年名実ともに飛躍的な活躍をされているガムラン演奏・作曲家ブダ氏。(ブダ氏のインタビューはこちら
 
影絵芝居、芸能が盛んな地域スカワティ村の中でもトップクラスの実力をもつ2人のアーティストが、来日して伝統的なワヤンの魅力を日本の皆さんに紹介します。
 
来日経験や海外での上演、ワークショップの経験が豊富な2人は日本の状況もよく理解しており、打ち合わせはスムーズに進みました。自らの経験から「こうした方がもっといいのでは?」と貴重な意見もたくさんいただき、成功に向けて真剣に取り組む姿勢は大変嬉しく思いました。

いざ、リハーサルが始まると、ワヤンの内容の細かい打ち合わせなどはしていないのに、チャプン氏とブダ氏の息はピッタリ。(通常のバリ島のワヤンも事前打ち合わせなどはなく、ダランに合わせて演奏者は即興的に演奏します。しかし改めて、これは本当にスゴイことですね)

ダランの技量で、その日のその場の状況・雰囲気に合わせて演じられるワヤン。今回の来日公演でのワヤンの演目は、古代インド叙事詩マハーバーラタ物語より「アルジュナの瞑想(Arjuna Tapa)」と決まってはいますが、さて、その細部はどうなるのか…。これぞ生きた芸能の醍醐味!ですね。当日をぜひ楽しみにしていてください。
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本番はジベカより飯田、大森、宮﨑も演奏参加予定です
本番はジベカより飯田、大森、宮﨑も演奏参加予定です
写真中央:ブダ氏、右:チャプン氏
写真中央:ブダ氏、右:チャプン氏

【バリ島便り③】ワヤン・バテルの練習を見学

ダラン(影絵つかい)は若干11歳!
ダラン(影絵つかい)は若干11歳!

バリ島のワヤン(影絵芝居)の盛んな地域、スカワティ村の子どもたちによるワヤン練習風景です。ラーマヤナ物語のワヤンの伴奏楽器は、グンデル・ワヤンだけでなく、太鼓やゴングなどが加わり大変にぎやかで豪華な編成です。ワヤン・バテルと呼ばれます。

 

「ワヤン・バテル(ラマヤナ)を見学!演奏者は小2から高2の子どもたち、やたらにうまい。指導のジュアンダ&ブダ兄弟の情熱に「超あっぱれ」!!!
私は約30年余、子どもたちに民族音楽を体験させる、教える仕事をしていて、こういうシーンに遭遇すると泣けてくるんですよ。スカワティのワヤン界の未来は明るい!
ダラン(影絵使い)の少年は若干の11歳。ダランの勉強を本格的に始めて約3年、以前にも増して迫力の発声、人形の扱いだった。将来にも期待!」飯田
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昨年のものになりますが、子どもたちのワヤン練習の様子を少し映像でご紹介します。すでに大人顔負けの演奏、演技に驚かれるのではないでしょうか。今、子どもたちは本番を重ね、さらにパワーアップしています。よき指導者、環境に恵まれ、本当に子どもたちの可能性は未知数ですね。

【バリ島便り②】ダランの練習はハード!

指導中のジュアンダ氏(写真左)
指導中のジュアンダ氏(写真左)

ダランの練習が始まりました。

ダランというのは、バリ島の伝統的な影絵芝居「ワヤン」において、人形をあやつり、物語を語り、音楽の総指揮をとり、そしてそのすべてを同時進行で行う、まさにワヤンのすべてをつかさどる存在です。


また、ワヤンのリーダーという意味だけでなく、人望も厚く人格も高く、多くの人の見本となるような存在でもあります。

 

バリ島では、ダランは僧侶のような宗教的な役割も担い、人々に尊敬され慕われています。儀式で聖水をつくることもあります。

 

そんな人間的にも技巧的にもかなりのレベルが求められるスーパー人間「ダラン」に、そう簡単になれるわけが…ありません。

 

先生はジュアンダ氏。ワヤンが盛んな地域スカワティ村の現役ダランであり、最近は生徒がひっきりなしに訪れ、後進の指導にも熱い先生です。グンデル・ワヤンの名指導者ブダ氏の実のお兄さまでもあります。 

 

               

グンデルを演奏しながら指導するジュアンダ氏。弾き語り(?)ができる人は他にいないのでは?!
グンデルを演奏しながら指導するジュアンダ氏。弾き語り(?)ができる人は他にいないのでは?!

ジュアンダ氏曰く、ダランで一番大事なのは「声」とのこと。昔人々は、ワヤンの始まりの歌アラスアルム(Aras Arum)の第一声を聞いて、ダランの技量を判断したそうな。

 

ジュアンダ氏はダランの歌と伴奏楽器グンデル・ワヤンの音程の関係も丁寧にわかりやすく説明してくれ、一切手を抜かずに大きな声を出して例を示し、まさに全力で教えてくれます。

 

普段出さないような大きな声を出すと、すぐに喉が痛くなってしまいます。しかし練習を続けていくことで喉が鍛えられ強くなっていくのだと、ジュアンダ氏は自身の経験も交えながらお話ししてくれました。(先生はとても真似できないようなハードな修行を経験してきていらっしゃいます…)

 

ダランへの道のりはまだまだ長いですが、イイダ・ダランのお目見えする日を気長に楽しみにお待ちください。

【オマケ】

こちらはグンデル・ワヤンを演奏する際使用するバチ。(バリではパングルと呼びます)最近はこのように彫りが施された豪華なものが出回っているようです。(しかし値段はかなりいい値がします)

 

鍵盤を叩く丸い部分は「マダス」というとても堅い木が使用されています。よくあるパングルは「ソトン」(果物のジャンブー)の木が使われています。マダスのパングルはソトンのと比べ、10倍くらい長持ちして使えるそうです。

 

このマダスの木はかなり貴重な木で、なんでもパングルが作れるくらいの太さになるのに100年はかかるそうです。

ゴージャスパングルのお試し演奏をする女子4人組
ゴージャスパングルのお試し演奏をする女子4人組
パングルになる前の「マダス」の木
パングルになる前の「マダス」の木

ワヤンあれこれ

ワヤン・クリッ(wayang kulit:インドネシアの伝統的な影絵芝居)のちょっと珍しい人形をご紹介します。

身近な材料で作られたワヤン人形は、古くからワヤン(影絵芝居)が庶民に親しまれ、愛された娯楽であることがうかがい知れます。
ワヤン・クリの人形の原形にも思える自然素材(竹ほか)で作られたワヤン人形(ジャカルタ・ワヤン博物館より提供)
ジョグジャカルタ(ジャワ島中部)の田舎に子どもの遊び道具として伝わる、わらで作られたワヤン人形
バリ島のワヤン上演で使用される牛の皮で作られたワヤン人形(写真はイケメン代表アルジュナ王子)
わらのワヤン人形作りに挑戦しました。わらを器用に編んだり折ったり…む、む、難しい!(写真左:ワヤン作り伝承おじさん、右:飯田〈ジベカ理事長〉)

飯田 茂樹(ジベカ理事長)Facebookより

ジベカ旗揚げ公演の写真レポート

9.29に開催された第1回ジベカ公演は、無事に終了しました。たくさんの方にご来場いただき、ありがとうございました。


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ジャワ島のグンデルでお出迎え(演奏:増田)

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世界の鳥笛とインドネシア東部・ヌサ トゥンガラ地方の写真スライドショー(鳥笛:飯田、ピアノ:福沢、写真:松田)

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西ジャワ地方の伝統楽器、アンクルンの体験ワークショップ(全体指導:飯田)

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ゲストの「スミリール」代表・スミヤントさん(右)

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ジャワのガムラン音楽演奏「スミリール」(左から:スミヤント、さとうじゅんこ、増田久未)

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バリ島のガムラン、ゴング・アンクルンの体験ワークショップ(全体指導:飯田)

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バリ島の影絵芝居のガムラン音楽、グンデル・ワヤン演奏

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ダラン(人形つかい・うた):宮崎、演奏:飯田(左)、大森(左奥)、大竹(右)、増田(右奥)

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JIBECA9.29 出演者、スタッフ一同


写真:松田修一

バリ島でインタビュー! "グンデル・ワヤンの継承"

バリ島のガムラン音楽のひとつ「グンデル・ワヤン」(gender wayang)は、数多くあるガムラン音楽の中でも最も小さい編成(最少人数2人~)のガムランで、バリ島では影絵芝居「ワヤン」の音楽として、また、人生の節目の儀式(成人式、お葬式など)の音楽として、バリ人の生活に大変深く根ざしている音楽です。

PKB2016 優勝グループ (facebookより)
PKB2016 優勝グループ (facebookより)
近年バリ島では、子どもの習い事としてその人気が高まっており、各地で頻繁にコンテストが開催されています。子どもたちは綺麗にお化粧をしてもらい、美しい伝統衣装に身を包んだハレの姿で、日頃の練習の成果を舞台の上で発揮します。それはもう、大人顔負けの堂々としたパフォーマンスです。
今回、ガムラン演奏家、作曲家であり、グンデル ・ワヤンの指導者としても近年目覚ましい活躍をみせているブダ氏(I Ketut Buda Astra・47歳・ギャニャール県スカワティ村出身)が飯田(JIBECA代表)のインタビューに応えてくれました。(インタビュー:2016/7/1 スカワティ村ババカンにて)
子どもたち150人による演奏(facebookより)
子どもたち150人による演奏(facebookより)

ブダ氏は、バリ島で毎年6月中旬から約1ヶ月の間 開催されるアートフェスティバル(通称PKB)の「子どもグンデル・ワヤン コンテスト」(2013~)で、指導したグループすべて(2013,15,16年度の3回)を優勝に導きました。そして今年4月のバリ州ギャニャール県の成立記念日の催しでは、総勢150人の子どもたちを率いてグンデル ワヤン演奏の舞台を成功させました。

村の祭りでお披露目 (PKB2013 優勝グループ)
村の祭りでお披露目 (PKB2013 優勝グループ)

名実ともにグンデル ワヤン指導者の第一人者であるといえるブダ氏。子どもたちにグンデルを教えるようになった経緯、教え方のコツなど、超多忙な合間に時間をとっていただき、インタビューに応えてもらいました。


飯田:コンテストで1位入賞、おめでとうございます。どんなお気持ちですか。
ブダ:ありがとうございます。今年は正直大変でした。去年のグループは、皆スカワティ村出身の地元の子どもたちで、代表に選ばれた時点ですでに演奏のテクニックはほぼ習得していて、課題曲3曲のうち2曲はもう弾けていました。残り1つの新曲(Ombak Atarum 「混ざり合う波」という意のブダ氏の新曲)を頑張ればいいだけでした。
しかし今年のグループは、選ばれた時点では演奏テクニックは50%ほど、課題曲は4曲もあり、すべてがゼロからのスタートでした。
飯田:どれくらい練習しましたか?
ブダ:4月の末から練習をスタートしました。始めは(自分の時間がとれなかったので)週に2回を基本としました。
本番は6月中旬なので、私たちには2カ月ほどしか練習する期間がありませんでした。5月末からは、毎日練習しました。私は毎回の練習で、たくさん叱りました。そうしないと、子どもたちは気を抜いて本気にならないからです。私たちにはたった2カ月しかなかったので、厳しく教えなくてはなりませんでした。
優勝した子どもたちとブダ氏(写真提供:ブダ氏)
優勝した子どもたちとブダ氏(写真提供:ブダ氏)

コンテスト本番の子どもたちの演奏には、私は本当に満足しました。子どもたちは、私が教えたすべてをそこで体現してくれました。その時できる最大限の力を発揮してくれました。演奏直後に子どもたちにかけた言葉は、「結果は何であれ、自分は大変満足している。君たちを大変誇りに思う」そう話しました。結果としては1位となりましたが、私は結果に関わらず、子どもたちの演奏には本当に心から満足し、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。子どもたちは自分に対して「ありがとう」と思っていると思いますが、私の方からも「ありがとう」と強く思っています。

飯田:(涙)感動しています。
子どもたちにグンデル ワヤンを教えるようになった経緯を教えてください。
ブダ:このことは、前から考えていました。たぶん、4年くらい前からでしょうか。私はグンデル・ワヤンをしっかりと次の世代へ継承しなくてはならないということに責任を感じるようになりました。私のようにグンデルを愛し、子どもたちに情熱を持って教えることが出来る人は、私の他にはいないと思っています。スカワティ村はグンデル・ワヤン弾きが昔から多くいました。私の父も祖父も曽祖父も… 私の代で終わってしまったら、先祖に怒られます。(笑)

飯田:(ため息)長年スカワティ村の人々に関わってきましたが、このような話しを他で聞いたことはありません。本当に素晴らしいことですね。
練習風景(PKB2015 優勝グループ)
練習風景(PKB2015 優勝グループ)
ブダ:私はグンデル・ワヤンには大きな「借り」があります。というのは、私は幼い頃に父を亡くし、母も仕事がなく、自分でお金を稼いで生きていかなくてはなりませんでした。小学校5年生の時には、すでにワヤン一座の一員として演奏に参加し、そこで得たお金を学費に遣い、生活をしてきました。中学、高校もグンデル・ワヤンで稼いだお金で通い、グンデル・ワヤンで奨学金をもらって芸術大学を卒業することもできました。私はまさにグンデル・ワヤンによって生かされてきたのです。私はそのことを忘れず、グンデル・ワヤンを継承していく責任があります。
飯田:たくさんの子どもたちがこのようにグンデル・ワヤンを習うようになったのは、どうしてですか?
というのも、私が留学していた30年前は、グンデル・ワヤンを演奏出来る人は稀で、ましてや子どもたちが演奏することはありませんでした。
ブダ:私の考えですが、まず1つにはPKBのコンテストの影響があると思います。2013年から、子どものグンデル・ワヤン コンテストが始まりました。(ブダ氏自身の娘も参加し優勝) 州都のデンパサール市から、子どもたちがグンデル・ワヤンを学ぶ流れが始まりました。今でもデンパサール市は大変教育に力を入れていて、市のサポートがとても厚いです。無料のレッスンがあちこちで開催されていて、そのおかげでたくさんの演奏者が育っています。

そのほかの要因としては、親の考え方によるものだと思います。最近の子どもたちは、学校が終われば塾やコンピューターの習い事など、大変忙しくしています。親は、子どもたちにバランス良く成長して欲しいと思っています。勉強ばかりではメンタルが偏ってしまいます。芸術分野に触れさせバランスをとりたいと思い、グンデル・ワヤンを習わせるようになったのではないかと思います。
現在、毎週土日はレベル別にクラスを設け、朝から夕方まで指導にあたっている(facebookより)
現在、毎週土日はレベル別にクラスを設け、朝から夕方まで指導にあたっている(facebookより)
子どもたちに教えるのは、習う方も教える方も大変忍耐がいります。私は子どもたちにただグンデル・ワヤンを弾けるようになって欲しくはありません。やるからには「上手に」弾けるようになって欲しいのです。
だからプロセスはとても長いです。パングル(バチ)の持ち方、叩き方、音の止め方…基礎段階でで学ぶことはたくさんあります。私は、習い始めた子どもたちの親に「子どもがすぐに上手くなることを求めてはいけない」と話します。そうでないと、「どうしてウチの子はなかなか弾けるようにならないのだ?」と言われてしまいますから。(笑)
ワヤン・ラーマーヤナの練習風景。「子どもたちに常に目標を与え、さらにその力を伸ばしてあげたい」とブダ氏
ワヤン・ラーマーヤナの練習風景。「子どもたちに常に目標を与え、さらにその力を伸ばしてあげたい」とブダ氏
飯田:ブダさんから見て、子どもたちは楽しく学んでいますか?
ブダ:たぶん最初は楽しくないと思います。(笑) なぜなら親に無理やり連れてこられてますから。でも練習を始めて、学ぶプロセスを知ってからは楽しそうにしています。

私は教える際、彼らを惹きつけられるよう努めています。始めたばかりの子が、難しくて出来ず、ストレスになることは一般的によくありますが、それはとても危険なことです。プロセスがどんなに長くなっても、私は習い始めた子どもたちがどうやったらグンデル・ワヤンを楽しいと思ってくれるか、考えて教えています。
本番での生き生きとした子どもたちの様子から、演奏することが楽しくてしょうがないのが伝わる(ワヤン公演PKB2015)
本番での生き生きとした子どもたちの様子から、演奏することが楽しくてしょうがないのが伝わる(ワヤン公演PKB2015)
飯田:子どもたちが楽しく学ぶキーポイントは何ですか?
ブダ:最初は曲を教えないことですね。私は、簡単にすぐ出来るメロディを作って教えます。初め子どもたちは、「グンデル・ワヤンは難しい」という先入観を持っているのですが、簡単なメロディを教えると「自分は出来る」と思うのです。最初に「なんだ、グンデル・ワヤンは簡単だ!」と思わせることがコツです。
もちろんグンデル・ワヤンはバリ島のガムランの中で最も難しい楽器のひとつです。その後は難しいことがたくさん待っています。(笑) しかし最初に簡単なところから入り、テクニックを習得したら、難しいものもそんなに難しいと感じなくなります。基礎を習得していない状態で曲を教えると、子どもたちは難しくて飽きてしまうでしょう。 
飯田:どうやって、その指導方法を学びましたか?
ブダ:実はたくさんの外国の生徒に教えた経験からです。彼らにグンデル・ワヤンを教え、そして自分も教え方を学びました。彼らがどうやったら出来るようになるか、常に考えながら教えてきました。そのことにはとても感謝しています。

飯田:お話しされていることは(自分も教えているので)とてもよくわかります。
いつ頃から外国人に教え始めたのですか?
ブダ:何年くらい前かな…。たぶん1996年くらいかな…。教えた生徒はたくさんいます。日本からもたくさん来ましたし、カナダ、アメリカ、オーストラリア、ドイツ…様々な国の方々がグンデル・ワヤンを習いに来てくれました。

ここで、次の約束の生徒さんがやってきたため、インタビューは中断となりました。

芸能人が分刻みでインタビューに応えてくれる、そんな状況を思わせるような多忙なブダ氏でした。

続きはまたの機会にお話を伺いたいと思います。

ブダ氏が不在の際は、先輩の子どもたちが教える微笑ましい光景
ブダ氏が不在の際は、先輩の子どもたちが教える微笑ましい光景
ブダ氏の兄、ジュアンダ氏(写真:左)はダラン(人形遣い)として後進の指導にあたっている。兄弟でバリの芸能の継承に熱い
ブダ氏の兄、ジュアンダ氏(写真:左)はダラン(人形遣い)として後進の指導にあたっている。兄弟でバリの芸能の継承に熱い

インタビューを抜粋してリポートしました。

ブダ氏は、超多忙にも関わらずとてもにこやかに、時には冗談を交えながら応えてくれました。

どんなに忙しくても、グンデル・ワヤンを練習したいと子どもがやってきたら、つい対応してしまうそうです。芸術家の魂が黙ってはいられないとか…。

お身体にはくれぐれも気をつけていただきたいものですが、スカワティ村のグンデル・ワヤンは安泰といったところでしょうか。

ブダ氏のグンデル・ワヤン指導法に、私たち外国人生徒の存在が関係していたとは、なかなか興味深いお話しです。図らずもスカワティ村のグンデル・ワヤンの発展、バリ島の文化継承に貢献していたとは、不思議なものですね。
(オマケの話、今年のPKB優勝メンバーの1人(最年少女子アユ・ミカ〈マス村〉)がグンデル・ワヤンを始めたのは、我々JIBECAメンバーからの影響というから、感慨深いです)
インタビュー後にブダ氏と
インタビュー後にブダ氏と
さて、今回インタビュー第1号として、私たち"パンダワ・ピトゥ"(影絵芝居グループ)の音楽監督としても指導いただいた、バリ島スカワティ村のグンデル・ワヤンの第一人者のひとり、ブダ氏にお話しを伺いました。
今後も幅広い分野で、いろんな人にお話しを伺っていきたいと思います!
どうぞお楽しみにしていてください。

麻布でワヤン

麻布子ども中高生プラザ(東京都港区)にて、ワヤン公演を行いました。麻布という土地柄からか、ドイツ、アルゼンチンなど外国人のお客さまも来場し、ワヤンのお調子者キャラクター「デレム」は各国の言葉で挨拶をして会場を盛り上げました。

今回私たちは、新たな試みとして少しだけ照明に工夫を加えました。本来バリ島の伝統的なワヤンでは、椰子油のランプを使用します。ランプの炎の微かな揺れが、映し出された影に生命を宿すのです。
ランプは椰子油を定期的に補充して使用します。
ランプは椰子油を定期的に補充して使用します。

ここで少し、バリ島のワヤンの様子をご紹介します。ワヤン会場は半野外で、暗い闇の中にあります。スクリーン後ろに吊るされたランプに火が灯され、青銅製の楽器グンデル・ワヤンの甘い調べが聞こえてきます。これからワヤンが始まることを人々に知らせるのです。集まった人々はどんな物語が始まるのかと期待に胸を膨らませながら、その時を待ちます。

数多くあるワヤンの人形の中でも最も重要なワヤン「カヨナン」
数多くあるワヤンの人形の中でも最も重要なワヤン「カヨナン」

しばらくして、影絵世界の創造主とも言えるダラン(影絵師/人形遣い)が、ワヤン人形の入った木箱を チュパラという小さい木槌のようなもので威勢よく叩きます。その音を合図に全てが動き出すのです。演奏者たちは、合図に呼応してさらに激しく演奏を続け、やがて生命の木、宇宙の木とも言われる「カヨナン」のワヤンがスクリーンいっぱいに舞い、人々を影絵の世界へ誘います…。

燃え盛る炎の下、ダランは人形を操りワヤンの総指揮をとります。
燃え盛る炎の下、ダランは人形を操りワヤンの総指揮をとります。
暗闇の中、揺れる炎の光のもとに繰り広げられるワヤンはとても幻想的です。炎の明かりは人間の手では作り得ない美しさ、神秘性を感じさせます。炎はワヤンに最も適した照明だと思いますが、日本では会場の関係や消防法により、実際の火を使うのは難しいのが現状です。

昨今のバリ島のワヤンは、伝統的なランプを使用せずに派手な電飾を多用し、内容はただ面白さのみを追求したものの人気が高くなっています。ダランの哲学が盛り込まれた、素朴に美しい伝統的なワヤンが演じられる機会は、残念ながら減少傾向にあるようです。時代の流れとともに芸能の姿が変化していくのは、何処でも、いつの時代でも同じなのかもしれません。
伝統的なワヤンの上演の様子。
伝統的なワヤンの上演の様子。

しかし、古くから伝わる、高い芸術性を備えたワヤンの世界を このまま後世に伝えて欲しい…そのように強く願ってやみません。日本でも言えることですが、外部の人間の方が、伝統的なものの良さに気づきやすいのかもしれませんね。

話しがワヤンの照明から少し逸れてしまいました。照明に限りませんが、私たちは日本人であり、どんなにたくさん練習しても、上手に真似をしても、やはりバリ人と同じようにはワヤンを演じることは出来ません。しかし私たちは、バリ島のワヤンの魅力にすっかり虜になっていて、大ファンであることは自覚しております。伝統的なワヤンを心から尊重しつつ、今の私たちにしか出来ないワヤンを絶えず探っていきたいと思います。

さて、私たちワヤン・グループ「パンダワ・ピトゥ」は、照明に炎は使えませんが、伝統的な雰囲気を壊さない範囲で電気の照明に工夫をすることに、(お金はかけずに)試行錯誤の挑戦中です。炎の明かりにはかないませんが、幻想的なあのバリ島のワヤンの雰囲気に 少しでも近づけたら…と思っています。

ありがとう!こどもの城

国立総合児童センター「こどもの城」(東京都渋谷区/2015年3月閉館)にてワヤン公演を行いました。


閉館直前(遊びのエリアは1月末まで)の週末ということで、こどもの城にはたくさんの子供たち、そして大人たちが来館し、ワヤンにもたくさんの観客が来てくれました。


今回のワヤンは、長年こどもの城で演奏、指導されてきた世界のさまざまな民族楽器を取り入れた、特別バージョンで行いました。


「何の楽器の音だろう?」と子供も大人も次々に登場する珍しい楽器に興味津々。ダラン(影絵師/人形遣い)と演奏者たちとの軽妙なやりとりに会場は盛り上がり、真冬にも関わらず、こどもの城のスタジオ内は南国のような熱気に包まれました。


世界中にある、珍しく素晴らしい音楽に出会うことができた貴重な場所「こどもの城」。閉館してしまうのはとても残念ですが、この場所が無くなっても、私たちは引き続き多くの子供たち、そして大人たちに「世界の音楽と出会う場」を提供し、感動を与え、かけがえの無い経験をしてもらえたらと思っています。 

秋の夜空の下で影絵芝居

こどもの城(東京都渋谷区)の『秋まつり』会場にて、ワヤンの公演を行いました。


食べ物の屋台や遊べる屋台が並び、たくさんの親子連れでにぎわっていた屋上のワヤン会場は、秋の風が心地よく吹き抜け、とてもいい雰囲気でした。


夕方、色とりどりの提灯に光がともり、夜の祭りのムードが盛り上がってきたところで、いよいよワヤンの出番!バリ島・スカワティ村の伝統的なワヤンを再現すべく、練習を重ね、本番を迎えました。


ダラン(影絵師/人形遣い)の変貌自在の声色、迫力ある人形さばきに、子供たちはスクリーンの表と裏をいったりきたりしながら、目を輝かせて見入っていました。


秋の夜長、光によって映し出されたワヤン人形の影たちが揺れ動くその様子は、大変幻想的でした。

バリ島の寺院でワヤン奉納

ワヤン公演中のスクリーン裏側の様子(dalang:Miya, penabuh:Juanda, Buda, Sukayana, Aiko)
ワヤン公演中のスクリーン裏側の様子(dalang:Miya, penabuh:Juanda, Buda, Sukayana, Aiko)
バリ島の伝統芸能を学ぶため、留学をした際のお話です。(本団体スタッフ:大森・宮崎)

留学中は、バリ島の多様な芸能・文化(ガムラン音楽ゴング・クビャール、バリ舞踊、ワヤン人形制作…)を体験させてもらいましたが、なかでも影絵芝居「ワヤン」を現役ダラン(人形つかい)ジュアンダ(I Made Juanda)氏に、また、その伴奏音楽グンデル・ワヤンをブダ(I Ketut Buda)氏に師事して熱心に学び、宮崎はダランとして、大森は演奏者の一人としてお寺で奉納公演を行うという、貴重な経験をすることができました。

日本人ダランが、現地の言葉を使用して 伝統的なワヤンを演じる姿に、バリ人の観客は初めはただ物珍しく、面白がっていましたが、次第にダランが日本人であることを忘れ、純粋にワヤンの世界を楽しんでいる様子でした。

日本人、バリ人関係なく、みんなが笑顔で、温かい雰囲気に包まれた一夜でした。

バリ島の伝統文化を学ぶために留学をしましたが、伝統文化を習得する以上に、そこで出会った多くの人々、様々な経験は、大きな大きな財産となっています。

私たちは、たくさんの人に助けられ、人びとの温かさ、感謝する気持ちなど、日本で暮らしていたらつい軽く見逃してしまいそうなことにたくさん気付かされました。

今後、もっともっと多くの人がこのような機会をもつことができたら、きっと素晴らしいな、、と思っています。