【バリ島便り①】結婚式とポトンギギと火葬式と

結婚式の様子。様々な供物と作法にのっとって行われる
結婚式の様子。様々な供物と作法にのっとって行われる

(ただいまジベカ代表飯田はバリ島出張中です。バリ島での様子をご紹介します!)

 

1月18日(水) この日はお日柄が良かったのか、あちこちで結婚式などの儀式が執り行われていました。マス村のルミカ氏に誘われ、近所のお宅でグンデル・ワヤンの演奏をしてきました。会場のお宅は椰子の葉で細工された飾りや色鮮やかなお供え物で美しく飾られていました。近所の人や親戚がたくさん集まり大変なにぎわいのなか、バリ・ヒンズー教にのっとった結婚の儀式が進行していきました。

ルミカ氏(左)とグンデル・ワヤン演奏の様子
ルミカ氏(左)とグンデル・ワヤン演奏の様子
ポットンギギの様子(外からでは何をしているのかよくわからず)
ポットンギギの様子(外からでは何をしているのかよくわからず)

結婚式の後、「ポトンギギ」(Potong Gigi)という成人の儀式が執り行われました。「ポトン」とは「切る」とか「削る」という意味、「ギギ」は「歯」という意味があり、その名の通り成人になるために歯を削る儀式です。当日は、10人の男女の参加者がきれいにお化粧をして着飾り、番が回ってくるのを待っていました。

 

ポトンギギの儀式の間はずっとグンデル・ワヤンを演奏し続けます。悪霊が入り込まないようにするためだそうです。早朝に行わることが多いのも、やはり悪霊を避けるためとのこと。悪霊に狙われやすい、危うい儀式ポトンギギ。グンデル・ワヤンの甘い音色が響く中、家族や参列者に見守られ無事に終えることができました。

専用のやすりで歯を平らに削る
専用のやすりで歯を平らに削る
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儀式を行う枕元に供えられた色鮮やかなお供え物
儀式を行う枕元に供えられた色鮮やかなお供え物
会場入り口で、主宰者の家主と飯田
会場入り口で、主宰者の家主と飯田

ポトンギギ会場からルミカ氏宅に戻り、しばらくするとにぎやかなガムラン音楽バラガンジュールが聞こえてきました。葬式行列が火葬場へ向かっていたのでした。

 

棺をのせた神輿に2台のグンデル・ワヤンが設置され、演奏者が上で演奏しながら運ばれていきます。このとき演奏されていた曲が、インドの叙事詩「マハーバーラタ物語」に出てくるパンダワ兄弟の怪力の次男「ビモ」武将の怒りというタイトルの「ビモクロド」でした。

 

神輿の上のグンデル・ワヤンの演奏はこの「ビモクロド」でなくてはならないわけではありませんが、神輿が辻々を巡りお墓のある火葬場に向かう道中、時に殺気立った雰囲気は、この「ビモクロド」という曲ととても合っているように思えました。

火葬場へ向かうたくさんの親族や参列者たち
火葬場へ向かうたくさんの親族や参列者たち
ngaben
若者たちによるバラガンジュールの演奏
若者たちによるバラガンジュールの演奏
この日は私の大好きなグンデル・ワヤンが影絵芝居の伴奏音楽としてだけでなく、バリの儀式の中でいかに重要な役割を担っているかを改めて実感する1日でした。バリ人の人生の通過儀礼の中、なくてはならない音楽のグンデル・ワヤン。古くからバリの人々の生活に寄り添い、共にある、美しい音楽です。