【バリ島便り②】ダランの練習はハード!

指導中のジュアンダ氏(写真左)
指導中のジュアンダ氏(写真左)

ダランの練習が始まりました。

ダランというのは、バリ島の伝統的な影絵芝居「ワヤン」において、人形をあやつり、物語を語り、音楽の総指揮をとり、そしてそのすべてを同時進行で行う、まさにワヤンのすべてをつかさどる存在です。


また、ワヤンのリーダーという意味だけでなく、人望も厚く人格も高く、多くの人の見本となるような存在でもあります。

 

バリ島では、ダランは僧侶のような宗教的な役割も担い、人々に尊敬され慕われています。儀式で聖水をつくることもあります。

 

そんな人間的にも技巧的にもかなりのレベルが求められるスーパー人間「ダラン」に、そう簡単になれるわけが…ありません。

 

先生はジュアンダ氏。ワヤンが盛んな地域スカワティ村の現役ダランであり、最近は生徒がひっきりなしに訪れ、後進の指導にも熱い先生です。グンデル・ワヤンの名指導者ブダ氏の実のお兄さまでもあります。 

 

               

グンデルを演奏しながら指導するジュアンダ氏。弾き語り(?)ができる人は他にいないのでは?!
グンデルを演奏しながら指導するジュアンダ氏。弾き語り(?)ができる人は他にいないのでは?!

ジュアンダ氏曰く、ダランで一番大事なのは「声」とのこと。昔人々は、ワヤンの始まりの歌アラスアルム(Aras Arum)の第一声を聞いて、ダランの技量を判断したそうな。

 

ジュアンダ氏はダランの歌と伴奏楽器グンデル・ワヤンの音程の関係も丁寧にわかりやすく説明してくれ、一切手を抜かずに大きな声を出して例を示し、まさに全力で教えてくれます。

 

普段出さないような大きな声を出すと、すぐに喉が痛くなってしまいます。しかし練習を続けていくことで喉が鍛えられ強くなっていくのだと、ジュアンダ氏は自身の経験も交えながらお話ししてくれました。(先生はとても真似できないようなハードな修行を経験してきていらっしゃいます…)

 

ダランへの道のりはまだまだ長いですが、イイダ・ダランのお目見えする日を気長に楽しみにお待ちください。

【オマケ】

こちらはグンデル・ワヤンを演奏する際使用するバチ。(バリではパングルと呼びます)最近はこのように彫りが施された豪華なものが出回っているようです。(しかし値段はかなりいい値がします)

 

鍵盤を叩く丸い部分は「マダス」というとても堅い木が使用されています。よくあるパングルは「ソトン」(果物のジャンブー)の木が使われています。マダスのパングルはソトンのと比べ、10倍くらい長持ちして使えるそうです。

 

このマダスの木はかなり貴重な木で、なんでもパングルが作れるくらいの太さになるのに100年はかかるそうです。

ゴージャスパングルのお試し演奏をする女子4人組
ゴージャスパングルのお試し演奏をする女子4人組
パングルになる前の「マダス」の木
パングルになる前の「マダス」の木