ワヤン(2/20)ナーガとガルーダ編

「ナーガとガルーダ」シーンのリハーサルの様子
「ナーガとガルーダ」シーンのリハーサルの様子

今月2/20に東京・武蔵小金井駅前の宮地楽器ホール練習室にて開催予定の「ワヤン(影絵芝居)上演と解説」では、バリ島の影絵芝居が盛んな地域スカワティ村より二人のトップアーティストをお迎えします。

 

上演予定の演目は古代インド叙事詩「マハーバーラタ物語」より「アルジュナの瞑想(Arjuna Tapa)」となります。この演目は、数あるワヤンの演目の中でも大変ポピュラーで、甘いロマンチックな場面あり、激しい戦闘シーンあり、大変見どころの多い内容です。

 

さて、前回のリハーサル編でもお伝えしたように、ワヤンは当日のダラン(影絵つかい)の状態、その場の雰囲気に合わせて内容が少しずつ変化していきます。それが生きた芸能の面白いところだとも言えますが、なんと今回は特別に、スカワティ村に古くから伝わる「ナーガとガルーダの戦い」のシーンが加えられる予定です。

 

スカワティ村のワヤン特有の激しいチュパラ(ダランが使用する木製の小槌のようなもので、足の指に挟んで、または手にもって木の人形箱を打ち鳴らします)の扱いやダランの巧みな人形操作、それを盛り上げるガムラン(グンデル・ワヤン)など、見どころ満載のワヤンにご注目ください。

 

ナーガ(左)とガルーダ(右)
ナーガ(左)とガルーダ(右)

ここで少し、「ナーガ」と「ガルーダ」の説明をします。

 

まずはインドネシアの国営航空会社の名前でもおなじみのガルーダ(garuda)ですが、ガルーダはインド神話にでてくる炎のように光り輝く神鳥。対するナーガ(Naga)は蛇や龍で、ガルーダとは敵対関係にあります。

 

ナーガとガルーダの関係は、陰と陽の関係であり、バリ島の観光芸能で有名な「バロンダンス」のバロンとランダの関係と類似した感じです。(ジュアンダ氏談)

 

バロンダンスはバリの奉納舞踊(演劇)「チャロナラン」がもととなっていますが、バロン(善)とランダ(悪)の決着のつかない永遠の戦いがテーマとなっています。バリの人々は善と悪、光と影、すべては表裏一体であり、ふたつのバランスが保たれることで平安が訪れると考えているからです。

 

ワヤンでは、ダランから見てスクリーンの左側が悪、右側が善となっており、左からナーガが、右からガルーダが登場します。ナーガとガルーダの戦いシーンは、大変に迫力がありそれだけでも大変見応えがありますが、バリ島に伝わる陰陽のバランスの考えを知って見てみると、また違った趣・面白さがあるかもしれませんね。

 

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