ワヤン・クリッ(Wayang kulit)は、インドネシアのジャワ島、バリ島などに伝わる伝統的な影絵芝居です。2009年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。
バリ島の伝統的なワヤンは、ダランと呼ばれる影絵師(人形つかい)を中心に、伴奏ガムラン音楽グンデル・ワヤンの演奏者4人と、ダランの補佐をする者で編成されます。ラーマヤナ物語を演じるワヤンになると太鼓やゴングなどの楽器が加わり編成が大きくなります。
ダラン練習をしているのは今年の8月に来日し、素晴らしいワヤンを披露してくれたセンディさん。国立芸術大学影絵学科の1年生。指導、グンデル・ワヤン演奏はジュアンダ氏
画面右で座っているのがダラン指導をするワルガさん。ダランの練習をしているのは国立芸術大学影絵芝居学科1年生のディーパくん
グンデル・ワヤンの練習をしている女子4人組の高校生と中学生。指導はブダ氏
オマケ(本番前の練習風景より)
1.シンクロする親子
2.体を張るジベカ理事長(60歳)
スティルタ氏主宰団体「サンガル・ロカナンタ」の発表会の様子。すごい子供の数!発表の場は子ども達のやる気をさらに伸ばしますね(スティルタ氏:中央右の青いシャツ、白いウダン(ハチマキ))
外国人留学生を指導中のスティルタ氏(国立芸術大学ISIデンパサールにて)
ワヤン(影絵芝居)の上演前。ダラン(影絵つかい)はセンディさん、演奏者はブダ氏の教え子たち(2015年度バリ芸術祭にて)
スティルタ氏の教え子たち。戦士の踊り「バリス」を練習中。真剣な表情!
本番の様子。写真はFacebookより(2018.4.13)
大人数のレッスンは、先輩の生徒たちがアシスタントとしてお手伝い。鍵盤の反対側から叩くというスゴ技もさらっとやってしまう、恐るべしグンデル女子!
数日前のリハーサルの様子。スアンダ氏(上:ダラン)、ブダ氏(右:太鼓)、チャプン氏(左:グンデル)、ギップ氏(中:グンデル)
ブダ氏の相手役、もう一人の太鼓演奏者はライ氏
影絵の人形は子どもたちには当然大人気!
(「くぷくぷ影絵音楽団」ハナ☆ジョスの東京公演からのリポート 2018.2.23@代々木オリンピックセンター)
インドネシア伝統芸能団「ハナ☆ジョス」のローフィさんと佐々木ひろみさんによる子ども向けワヤン(影絵芝居)ユニット「くぷくぷ影絵音楽団」の3つのワヤンが上演されました。
1つ目の「まる○さんかく△しかく□」は、形をテーマとしたオリジナルファンタジー作品。
2つ目は、五味太郎原作の色をテーマとした「きんぎょがにげた」。
そして3つ目は、ジャワ島の民話「ワニとやんちゃなしか・カンチル」。
「きんぎょがにげた」のワンシーン
ワヤン3種3様の特徴を出して、子ども向けとうたってはいるものの、「これぞ創作ワヤン」という素晴らしい光と影の世界を見せてもらいました。
特に3つ目の「カンチル」は、従来のスクリーンに影を投影する事からはじまり、バリ島のワヤン・ルマ(昼間の儀式のワヤン)方式と同様に、人形と人形を操る人そのものを全部見せるやり方に移行。そして3つ目の演じ方として、ローフィさんならではの真骨頂。ジャワ舞踊の要素を交えての全身を使っての語りと人形操作は、カンチルがトンチをきかせてワニ軍団から逃れるクライマックスシーンにドンピシャはまっていました。
生きのいいワニを表現するローフィさん
鹿の「カンチル」がトンチをきかせて、ワニ軍団から逃れるクライ
体を張ったこんなダラン(影絵つかい)は見た事ありません!
奥さまひろみさんの歌と語り、ジャワ・ガムランのグンデルとサロン、そして竹のアンクルン演奏。ローフィさんに負けない大活躍も特筆しなくてはいけませんね。お二人の息の合ったステージ、今後もフォローしていきたいと思います。(飯田茂樹)
竹のハンドベルともいわれているアンクルンの演奏。振っ
「ハナ☆ジョス」 左:ひろみさん、右:ローフィさん
【オマケ】なんかスミヤントさん(彼も日本在住のジャワの影絵芝居のダランです)にも会いたくなり、勤務先の新宿御苑の大温
関連ブログ:ムジカーザでガムラン大盛況のうち無事終了!
演奏者から見た「ワヤン・ルマ」の風景(photo:Rumika)
オダラン(寺院創立祭)会場。中央に見える箱はワヤン人形が入っている「クロパック」kropak 周りにはたくさんのお供え物が。奥に儀式が始まるのを待つ人々
@Pura Desa Sukawati
プダンダ(高僧、左奥)の準備が整い、儀式が開始。参拝客であふれる境内の中、舞踊が奉納される
舞踊と同時進行でワヤン・ルマも「グンデル・ワヤン」gender wayang の演奏からスタート
出番を待つ踊り子の少女、少年たち
@Pura Erjeruk
奥からガムラン演奏(ゴング・クビャール)、奉納舞踊「ルジャン」を踊る少女たち、手前ワヤン・ルマのガムラン(グンデル・ワヤン) オダランのフル・コース(?!)
バリ島内のダラン(影絵つかい)や演奏者の中でも、こちらのお二方は昼も夜も何でもござれのワヤンの大御所と言っても過言ではない方々。ダラン(左)はスカワティ村(Br.Babakan)のジュアンダ氏、演奏者(右奥)は同じくスカワティ村のサルゴ氏
精緻な彫りが施され、色鮮やかに彩色されたワヤン人形がたくさん写っています。人形が入っている「クロパック」はただの人形収納のための箱ではなく、影絵芝居 ワヤン の始まりから終わりまで重要な役割があります。ダランは「チュパラ」という木槌のような道具を手で持つか足の指に挟み、クロパックの側面を打ち鳴らして劇中の効果音や合いの手を入れます。また、演奏者にとってはチュパラの音は時に演奏の合図となります。箱の素材はナンカ(ジャックフルーツ)の堅い木が使われており、音が遠くまでよく響きます(ワヤンの盛んなスカワティ村のクロパックは、よりバリエーション豊かに音を鳴らせるよう片側の側面がグラグラと動くよう設計されています)photo:Rumika
写真1:チュパラ(cepala)
写真2:足にチュパラを挟んで使用する様子
ギアニャール県スカワティ村のババガン地区(br.Babakan Sukawati Gianyar)は、狭い範囲にダラン(人形使い・語り部)とグンデル・ワヤン(影絵の伴奏音楽)の演奏家が密集して住んでいる特別な地域です。子どもたちは小さい頃からその伝統芸能にふれ、深く興味を持つ子ども、才能を持つ子どもは小さい頃から頭角を現わし、大人顔負けのパフォーマンスを披露します。
(飯田茂樹、バリ島スカワティ村からのリポート)
只今開催中のバリ芸術祭(Pesta Kesenian
Bali 通称:PKB ペーカーベー)のグンデル・ワ
本番間近で練習に熱が入る。課題曲「スレンドロ」「アラ
ちなみに私は、このギャニャール代表は優勝を勝ち取ると
(写真:演奏する子供たちと指導中のブダ氏)
ブダ氏の次女センディさん(高3)のダランに
ダラン指導の様子。センディさんの後ろから手加減なしの
chotto kyuukei...
インドネシア・ジャワ芸能の「おもちゃ箱」のようなイベントが2年振りにパワフルに復活!
今回雇われワルン店長として参加しましたが、これでもかこれでもかといった充実した演目に舌を巻き、お店をほったらしにかぶりつきで目が釘付け!
見逃したご貴兄にご朗報!来年も開催予定とか。(飯田茂樹)
グループ「ハナジョス」のリーダー、ローフィットさんは
ワヤン(影絵芝居)のダラン(影絵つかい)も。(ローフ
影絵を操る側と映しだされた影側の両方が見られるように
ジョグジャカルタの歓迎の踊り。ここには踊り子さんの影
こちらはナナンさん、クールに演奏で全体を支えてくれま
こちらは8頭身モデルさんかと思いきや、NPOジベカの
顔は見えませんが、バロンガンという虎の獅子舞?の前足
大入り大盛況でしたね。飲み食べしながらの観劇はリラッ
ジャワの芸能・雰囲気を満喫しました、ありがとうござい
左から中村伸(当公演の実行委員)、西岡美緒、西田有里、アナント・ウィチャクソノ(ナナン)、根津亜矢子、スミヤント、ローフィット・イブラヒム、佐々木宏実、岩本象一(敬称略)
雇われワルン店長のお店
ステージとワルンで鳥笛のさえずり共演をさせてもらいま
↓オマケ:店そっちのけでワヤン(影絵芝居)にくぎ付けのイイダの図
「月と太陽 ーEclipseー」
(インドネシア・バリ島の伝統影絵芝居と仮面舞踊の融合、ヒンドゥー教の月食、日食の起源にまつわるお話より…)
5/4~5/7 @東京芸術劇場シアターウエスト(豊島区)主催:東京芸術劇場
2月に来日し、ジベカのワヤン(影絵芝居)公演にも出演してくれたチャプン氏とブダ氏が、バリ島スカワティ村の仲間を新たに引き連れ再来日!伝統芸能から創作された演目の世界初公演で、スカワティ村の芸能一族が東京で多くの人々を魅了しました。
公演後のワークショップでは、ジベカ代表飯田が司会をつとめました。ガムラン楽器やワヤン人形操作体験、そしてバリの芸術家たちと触れ合うことができたこのワークショップは、来場された多くの子供たちや観客にとって、大変貴重で思い出深い経験になったと思います。
ご参加ありがとうございました。
【5/5のワークショップ】
ちょこっとガムラン体験コーナー。この日は子どもの日、多くの子どもたちが積極的に参加してくれま
特別に出演者4人にワヤンの伴奏
【5/6のワークショップ】
影絵を操作するバ
本公演の主役カデ・チャプン氏(右)と、実兄ワヤン・マ
人形操作に合わせてクンデル・ワヤン(ガムラン)の演奏
本公演コーディネーター小沢氏(中央奥)、司会の飯田(スクリ
演奏隊も本当にご苦労さまでした。グンデル・ワヤン
ファ
音楽監督ブダ氏(手前左)、コマン・アリ氏(手前右)、マ
かわいいお弟子さん?
「影絵に合わせてチェンチェン(シンバルパーカッション
あの激しいクンダン(太鼓)の演奏を
【5/7公演最終日のワークショップ】
ワヤン人形の操作体験!影がどう映るか皆さん興味津々の様子。
バリ島で芸能が盛んなギャニャール県スカワティ村からきた出演者6人。
紅一点スカンティさん(中央)は、視線をいっきに集めていました
バリ島から、本当に素晴らしい公演をありがとうございました。
今月2/20に東京・武蔵小金井駅前の宮地楽器ホール練習室にて開催予定の「ワヤン(影絵芝居)上演と解説」では、バリ島の影絵芝居が盛んな地域スカワティ村より二人のトップアーティストをお迎えします。
上演予定の演目は古代インド叙事詩「マハーバーラタ物語」より「アルジュナの瞑想(Arjuna Tapa)」となります。この演目は、数あるワヤンの演目の中でも大変ポピュラーで、甘いロマンチックな場面あり、激しい戦闘シーンあり、大変見どころの多い内容です。
さて、前回のリハーサル編でもお伝えしたように、ワヤンは当日のダラン(影絵つかい)の状態、その場の雰囲気に合わせて内容が少しずつ変化していきます。それが生きた芸能の面白いところだとも言えますが、なんと今回は特別に、スカワティ村に古くから伝わる「ナーガとガルーダの戦い」のシーンが加えられる予定です。
スカワティ村のワヤン特有の激しいチュパラ(ダランが使用する木製の小槌のようなもので、足の指に挟んで、または手にもって木の人形箱を打ち鳴らします)の扱いやダランの巧みな人形操作、それを盛り上げるガムラン(グンデル・ワヤン)など、見どころ満載のワヤンにご注目ください。
ここで少し、「ナーガ」と「ガルーダ」の説明をします。
まずはインドネシアの国営航空会社の名前でもおなじみのガルーダ(garuda)ですが、ガルーダはインド神話にでてくる炎のように光り輝く神鳥。対するナーガ(Naga)は蛇や龍で、ガルーダとは敵対関係にあります。
ナーガとガルーダの関係は、陰と陽の関係であり、バリ島の観光芸能で有名な「バロンダンス」のバロンとランダの関係と類似した感じです。(ジュアンダ氏談)
バロンダンスはバリの奉納舞踊(演劇)「チャロナラン」がもととなっていますが、バロン(善)とランダ(悪)の決着のつかない永遠の戦いがテーマとなっています。バリの人々は善と悪、光と影、すべては表裏一体であり、ふたつのバランスが保たれることで平安が訪れると考えているからです。
ワヤンでは、ダランから見てスクリーンの左側が悪、右側が善となっており、左からナーガが、右からガルーダが登場します。ナーガとガルーダの戦いシーンは、大変に迫力がありそれだけでも大変見応えがありますが、バリ島に伝わる陰陽のバランスの考えを知って見てみると、また違った趣・面白さがあるかもしれませんね。
バリ島のワヤン(影絵芝居)の盛んな地域、スカワティ村の子どもたちによるワヤン練習風景です。ラーマヤナ物語のワヤンの伴奏楽器は、グンデル・ワヤンだけでなく、太鼓やゴングなどが加わり大変にぎやかで豪華な編成です。ワヤン・バテルと呼ばれます。
「ワヤン・バテル(ラマヤナ)を見学!演奏者は小2から高2の子どもたち、やたらにうまい。指導のジュアンダ&ブダ兄弟の情熱に「超あっぱれ」!!!
昨年のものになりますが、子どもたちのワヤン練習の様子を少し映像でご紹介します。すでに大人顔負けの演奏、演技に驚かれるのではないでしょうか。今、子どもたちは本番を重ね、さらにパワーアップしています。よき指導者、環境に恵まれ、本当に子どもたちの可能性は未知数ですね。
ダランの練習が始まりました。
ダランというのは、バリ島の伝統的な影絵芝居「ワヤン」において、人形をあやつり、物語を語り、音楽の総指揮をとり、そしてそのすべてを同時進行で行う、まさにワヤンのすべてをつかさどる存在です。
バリ島では、ダランは僧侶のような宗教的な役割も担い、人々に尊敬され慕われています。儀式で聖水をつくることもあります。
そんな人間的にも技巧的にもかなりのレベルが求められるスーパー人間「ダラン」に、そう簡単になれるわけが…ありません。
先生はジュアンダ氏。ワヤンが盛んな地域スカワティ村の現役ダランであり、最近は生徒がひっきりなしに訪れ、後進の指導にも熱い先生です。グンデル・ワヤンの名指導者ブダ氏の実のお兄さまでもあります。
ジュアンダ氏曰く、ダランで一番大事なのは「声」とのこと。昔人々は、ワヤンの始まりの歌アラスアルム(Aras Arum)の第一声を聞いて、ダランの技量を判断したそうな。
ジュアンダ氏はダランの歌と伴奏楽器グンデル・ワヤンの音程の関係も丁寧にわかりやすく説明してくれ、一切手を抜かずに大きな声を出して例を示し、まさに全力で教えてくれます。
普段出さないような大きな声を出すと、すぐに喉が痛くなってしまいます。しかし練習を続けていくことで喉が鍛えられ強くなっていくのだと、ジュアンダ氏は自身の経験も交えながらお話ししてくれました。(先生はとても真似できないようなハードな修行を経験してきていらっしゃいます…)
ダランへの道のりはまだまだ長いですが、イイダ・ダランのお目見えする日を気長に楽しみにお待ちください。
【オマケ】
こちらはグンデル・ワヤンを演奏する際使用するバチ。(バリではパングルと呼びます)最近はこのように彫りが施された豪華なものが出回っているようです。(しかし値段はかなりいい値がします)
鍵盤を叩く丸い部分は「マダス」というとても堅い木が使用されています。よくあるパングルは「ソトン」(果物のジャンブー)の木が使われています。マダスのパングルはソトンのと比べ、10倍くらい長持ちして使えるそうです。
このマダスの木はかなり貴重な木で、なんでもパングルが作れるくらいの太さになるのに100年はかかるそうです。
飯田 茂樹(ジベカ理事長)Facebookより
9.29に開催された第1回ジベカ公演は、無事に終了しました。たくさんの方にご来場いただき、ありがとうございました。
ジャワ島のグンデルでお出迎え(演奏:増田)
世界の鳥笛とインドネシア東部・ヌサ トゥンガラ地方の写真スライドショー(鳥笛:飯田、ピアノ:福沢、写真:松田)
西ジャワ地方の伝統楽器、アンクルンの体験ワークショップ(全体指導:飯田)
ゲストの「スミリール」代表・スミヤントさん(右)
ジャワのガムラン音楽演奏「スミリール」(左から:スミヤント、さとうじゅんこ、増田久未)
バリ島のガムラン、ゴング・アンクルンの体験ワークショップ(全体指導:飯田)
バリ島の影絵芝居のガムラン音楽、グンデル・ワヤン演奏
ダラン(人形つかい・うた):宮崎、演奏:飯田(左)、大森(左奥)、大竹(右)、増田(右奥)
JIBECA9.29 出演者、スタッフ一同
バリ島のガムラン音楽のひとつ「グンデル・ワヤン」(gender wayang)は、数多くあるガムラン音楽の中でも最も小さい編成(最少人数2人~)のガムランで、バリ島では影絵芝居「ワヤン」の音楽として、また、人生の節目の儀式(成人式、お葬式など)の音楽として、バリ人の生活に大変深く根ざしている音楽です。
ブダ氏は、バリ島で毎年6月中旬から約1ヶ月の間 開催されるアートフェスティバル(通称PKB)の「子どもグンデル・ワヤン コンテスト」(2013~)で、指導したグループすべて(2013,15,16年度の3回)を優勝に導きました。そして今年4月のバリ州ギャニャール県の成立記念日の催しでは、総勢150人の子どもたちを率いてグンデル ワヤン演奏の舞台を成功させました。
名実ともにグンデル ワヤン指導者の第一人者であるといえるブダ氏。子どもたちにグンデルを教えるようになった経緯、教え方のコツなど、超多忙な合間に時間をとっていただき、インタビューに応えてもらいました。
コンテスト本番の子どもたちの演奏には、私は本当に満足しました。子どもたちは、私が教えたすべてをそこで体現してくれました。その時できる最大限の力を発揮してくれました。演奏直後に子どもたちにかけた言葉は、「結果は何であれ、自分は大変満足している。君たちを大変誇りに思う」そう話しました。結果としては1位となりましたが、私は結果に関わらず、子どもたちの演奏には本当に心から満足し、嬉しい気持ちでいっぱいになりました。子どもたちは自分に対して「ありがとう」と思っていると思いますが、私の方からも「ありがとう」と強く思っています。
ここで、次の約束の生徒さんがやってきたため、インタビューは中断となりました。
芸能人が分刻みでインタビューに応えてくれる、そんな状況を思わせるような多忙なブダ氏でした。
続きはまたの機会にお話を伺いたいと思います。
ここで少し、バリ島のワヤンの様子をご紹介します。ワヤン会場は半野外で、暗い闇の中にあります。スクリーン後ろに吊るされたランプに火が灯され、青銅製の楽器グンデル・ワヤンの甘い調べが聞こえてきます。これからワヤンが始まることを人々に知らせるのです。集まった人々はどんな物語が始まるのかと期待に胸を膨らませながら、その時を待ちます。
しばらくして、影絵世界の創造主とも言えるダラン(影絵師/人形遣い)が、ワヤン人形の入った木箱を チュパラという小さい木槌のようなもので威勢よく叩きます。その音を合図に全てが動き出すのです。演奏者たちは、合図に呼応してさらに激しく演奏を続け、やがて生命の木、宇宙の木とも言われる「カヨナン」のワヤンがスクリーンいっぱいに舞い、人々を影絵の世界へ誘います…。
しかし、古くから伝わる、高い芸術性を備えたワヤンの世界を このまま後世に伝えて欲しい…そのように強く願ってやみません。日本でも言えることですが、外部の人間の方が、伝統的なものの良さに気づきやすいのかもしれませんね。
国立総合児童センター「こどもの城」(東京都渋谷区/2015年3月閉館)にてワヤン公演を行いました。
閉館直前(遊びのエリアは1月末まで)の週末ということで、こどもの城にはたくさんの子供たち、そして大人たちが来館し、ワヤンにもたくさんの観客が来てくれました。
今回のワヤンは、長年こどもの城で演奏、指導されてきた世界のさまざまな民族楽器を取り入れた、特別バージョンで行いました。
「何の楽器の音だろう?」と子供も大人も次々に登場する珍しい楽器に興味津々。ダラン(影絵師/人形遣い)と演奏者たちとの軽妙なやりとりに会場は盛り上がり、真冬にも関わらず、こどもの城のスタジオ内は南国のような熱気に包まれました。
世界中にある、珍しく素晴らしい音楽に出会うことができた貴重な場所「こどもの城」。閉館してしまうのはとても残念ですが、この場所が無くなっても、私たちは引き続き多くの子供たち、そして大人たちに「世界の音楽と出会う場」を提供し、感動を与え、かけがえの無い経験をしてもらえたらと思っています。
こどもの城(東京都渋谷区)の『秋まつり』会場にて、ワヤンの公演を行いました。
食べ物の屋台や遊べる屋台が並び、たくさんの親子連れでにぎわっていた屋上のワヤン会場は、秋の風が心地よく吹き抜け、とてもいい雰囲気でした。
夕方、色とりどりの提灯に光がともり、夜の祭りのムードが盛り上がってきたところで、いよいよワヤンの出番!バリ島・スカワティ村の伝統的なワヤンを再現すべく、練習を重ね、本番を迎えました。
ダラン(影絵師/人形遣い)の変貌自在の声色、迫力ある人形さばきに、子供たちはスクリーンの表と裏をいったりきたりしながら、目を輝かせて見入っていました。
秋の夜長、光によって映し出されたワヤン人形の影たちが揺れ動くその様子は、大変幻想的でした。